形のない骨(2018)
久しぶりに海外の劇場で観た日本映画。なんとなく、骨に関連した(おくりびとのような)心温まるお話かと思いきや、さにあらず。なかなか衝撃的な内容でしたが、個人的にはすごく好きでした。なお、上映時の英題は「Hot Ashes」。
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Irina(2018)
ワルシャワ国際映画祭で観た1本目。5本鑑賞した中でもっとも私が気に入った1本でした。原題はブルガリア語なので”ИРИНА”となります。同映画祭では審査員特別賞を受賞。
ワルシャワがインターナショナル・プレミアでしたが、先行してブルガリア国内の映画祭で上映されたようです。こちらのリンクも貼っておきますね。
IRINA - 36TH GOLDEN ROSE BULGARIAN FEATURE FILM FESTIVAL
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ワルシャワ国際映画祭に行ったこと
前回とは打って変わってヨーロッパの話題。今月13〜21日まで開催されていたワルシャワ映画祭に行ってきました!
ウィキペディアによれば、時期的に重なることもあって東京国際映画祭と同じぐらいの位置づけらしいです(国際映画批評家連盟公認のものとしては。公認されていないものでロッテルダム国際映画祭のように大規模なものもあるのですが、それはまた次のお話……!)。詳しくはこちら。世界14大映画祭の1つ……って多いわ!(笑)
この映画祭の最大の特徴は…………アクセスがめちゃくちゃいいこと(笑)。
ワルシャワのシンボルといえば、やはり中央駅前にデーンとそびえ立つ文化科学宮殿なのですが、なんとそこが会場。絶対迷いません(笑)。
(この宮殿自体はソ連時代の”贈り物”で今でも賛否分かれるようです。私の知り合いのポーランド人からもいろんな意見が聞かれました)
この宮殿が位置しているのが中央駅。主要な鉄道、地下鉄・トラム・バスが着くところなので空き時間にちょっと観光して戻ってくるにもなかなか便利なところだといえます。
街にもポスターが。
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カメラを止めるな!(2018)
今夏、日本で一大センセーションを巻き起こした(んですよね?ユーロスペースの長蛇の列、本当に驚きました……!)本作を、幸いにも一時帰国時に鑑賞することができました。
先の記事で私なりの「映画とは何か」を書いたんですが、この映画はある意味大変わかりやすく「映画とは何か」を伝える作品と言えるのかもしれません。
本作は王道の「エイガ映画」!
とにかく楽しい作品なのでぜひともみんなで鑑賞したいなーという気になります。ネタバレを含めての私の評は、以下。
!!! 以下、ネタバレを含みます !!!
続きを読む映画とは何か
いやはや、ずいぶん長いこと書いておりませんでした…。
意外なことにこのブログを読んでくださっている方もいると聞くこともあり、大いに感謝しながら続けたいと思っております。
書いてなかった間、それはまぁ非常に忙しかった、というのもあったのですが、何気に「映画を評するとは何か」とか青臭いことを悩んだりもしていました。今回はちょっとそれについて書き留めておきたいと思います。
映画を評するためにはそもそも対象となる映画とは何か、について自分なりにとらえなければなりません。 一般的に、映画は演劇の延長や類似したものと思われることも多いのですが、個人的にはそれは誤解というか、お芝居が映画の1つの要素であることは間違いないものの、映画ってそれだけじゃないものだと考えています。
それを冠した書籍も出ているように(マイケル・オンダーチェ『映画もまた編集である』みすず書房、2011)、私がもっともよく「映画」を表していると思っているのが「編集」です。
編集、つまり種々の要素が記録された映像を切り貼りし何かの方向性に収れんさせる。そこには(多くの場合は映像作家=監督、場合によってはプロデューサーの)明確な作為が潜んでいます。観客は一定の作為によって編集された映像を、しかも決められたフレームの中で見て、操作される。この操作された感情こそが映画体験であり、それを作り出す編集こそが映画というものなのだというのが、私の考えです。
これは、舞台で”ライブ”で演じられる芝居や、文字のみによって伝達されるがゆえに読み手に相当な裁量が許される書籍(文学と言わないのは映画もまた文学だという思いがあるためです)とは異なるものというべきでしょう(異論があることは承知しています)。
まとめると、先に書いたように、記録されている、すなわち再現性があるところが、私としては映画が根本的にお芝居と違うところだと考えています。
で、そうした操作によって出来上がった私自身の映画体験を、文字によって再構築すること。簡単にいえば、これが映画を評するということなのでしょう。
でも! それが! 筆の拙さによって自由自在にできないことがフラストレーションだったのですが、そうしてアウトプットしていないと何故だかインプットも減ってきてしまいまずいなと思い、まぁ今日からはまたぼちぼち、気楽に好きなことを書いていこうかなと思っています。
最初はそんなつもりなかったんだけど、突然の開幕宣言みたいになってしまった。 よろしくお付き合いくださいませ。
万引き家族(2018)
2017年の映画たち
いまさら明けまして、というのもはばかられるほど2018年になってしまいました。。とりあえず最初に、私の年中行事となっている昨年の振り返りを載せておきます。
【2017年に観た映画ランキング】
2017年も120本ちょっと映画を観たのですが、なかなか収穫のある年でした。その中でも新作からのランキングです。
5. サーミの血
5位はめちゃくちゃ迷ったんですが、北欧合作の本作。1人のサーミ人の少女の葛藤と成長を描いた作品。少女時代の成長がビターなのはもちろん、最終的にたどった人生について安易に答えを提示しないところがリアルで、私の気に入りました(こんなビターな経験もあったけど幸せな人生でした、なんて解はリアリズムと程遠いわけで)。それと、スウェーデンに住むサーミ人(ラップ人は蔑称)が過酷な差別を受けていた事実も、浅学ながら知らなかったので、そうした意味でも得がたい作品でした。
4. ア・ゴースト・ストーリー
年末滑り込みで観た秀作。詳細は以下に書いたのですが、いや愛すべき作品でした。