A Dose of Rock'n'Roll

いろんな国の映画について書いています。それから音楽、たまに本、それとヨーロッパのこと。

ルーム(2015)

原題: Room

制作: 2015年 アイルランド・カナダ合作

監督: レニー・アブラハムソン

出演: ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ

ルーム : 作品情報 - 映画.com

 

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順不同で書きなぐる予定のこのブログですが、最新作も取り上げようと思っています。ドイツに住んでいる関係上、日本公開よりも早く感想を公開することになることもあるでしょうね。
 
今日は、先月末ぐらいに観たこの作品。日本でも最近公開したそうで。
 
 
!! 以下、ネタバレを含むみます(し、この映画大好きだった人は読まない方がいいかも…?) !!
 

 

 
 
 
大好きな映画『フランク』(2014)の監督作、ということで俄然興味を持ち、そうしていると「オスカー主演女優賞」のニュースを聞いたので「見とくかー」と思っていってきました。
 
ある「ルーム」に住む親子の物語。一見仲の良さそうな親子の物語は、しかし”ママ”が”ボク”に世界はルームだけではないことを告白することで一変する。ーー監禁。そこから必死に逃げ出す親子を待ち受けていたのは決して甘くはない「現実」だった。
 
辛すぎる現実の中で必死に生きる親子の姿、そして母親と息子の深い絆を描いた感動作である。監禁というものすごく重いテーマを扱いながらも、特に”ボク”の視点で世界をキラキラした幻想的な場所に描いているところがいい。その優しさがまた切なさと表裏一体なのものこの映画のいいところ。
 
ただ、、、個人的には『フランク』のように好きな作品ではなかった。どうもその前作とは違い、あくまで「メジャー」な受け方を狙ったのかなあ、というのがすごく正直な感想。(性格悪そうでいやな感想ですが…)
どうも「ここ。泣けるでしょ?」っていう作為をところどころに感じて、泣けなかった。特に”ママ”であるジョイが帰ってきてすぐに受けるインタビュー。記者がやたらプライベートな質問をグサグサとするところで心がかき乱されるわけだけど、普通そんなに言う?ちょっとやりすぎじゃないかと思った。
 
だがしかし、本作の最大の見所は、間違いなく”ボク”役のジェイコブ・トレインブレイの演技。これが圧倒的で、たとえ演出が過剰だったとしてもそれを補って余りある才能で本作を特別なものにしている。個人的には『ありえないほど近くて、ものすごくうるさい』を思い出した。
冒頭にも書いたように、この作品でブリー・ラーソン(ママ)がアカデミー賞主演女優賞を手にしているんだが、むしろ私はこの子役、ジェイコブ君に主演男優賞をあげたい。前半と後半で視点が巧みに変わっているところもこの映画のよくできたところなのだが、それを踏まえた上で私は”ママ”はあくまで助演だと感じた。
 
 
というわけで、そんな結論でいいのかと思うけど、サントラまで最高な『フランク』を挙げておきますね…。