A Dose of Rock'n'Roll

いろんな国の映画について書いています。それから音楽、たまに本、それとヨーロッパのこと。

ホリーズのボン公演に行ってきました

先週の木曜日、5月19日に長年の憧れだったホリーズのドイツ公演に行ってきました。
会場はボンのベートーベンホールというところ。たいてい外国でのライブは毎年1公演だけなので、今年のドイツ公演が自宅から車で1時間なんて幸運にむせび泣きました。
 

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(今日は長いです…笑)
 

 

本当に泣いたかどうかはともかくとして、どうしてそれほどまでの心境になったかというと、このホリーズ(The Hollies)というバンド、私の中でもっとも好きなバンドランキング第2を高校生のころからキープし続けている大好きなバンドだからなんです。(あ、1位はビートルズでそれもキープされています(笑)。)
 
何を突然気持ちの悪いことを、お前のランキングはもちろんそもそもそんなバンド知らんぞ、とお思いの諸兄姉に超ざっくりご説明申し上げると、
 
  • 1963年デビューのUK出身のビートグループ。
  • アビーロードスタジオで録音、レーベルも同じパーロフォンということで、当時からビートルズの弟分と呼ばれていた(彼らはマンチェスター)。
  • 売りは高音を前面に押し出したコーラスワークと卓越した演奏技術。60年代にはトップ10ヒットを連発、アメリカでの知名度もあり、大成功を収めたバンドだった。
  • 70年代にC,S&Nでビッグネームになったグレアム・ナッシュが在籍していた。
  • 68年にグレアムが脱退してからも活動を継続、70年代にはコンスタントに質の高いアルバムをリリースしていた。
  • 80年以降はライブ活動がメインになっていたが、2000年にリードボーカルのアラン・クラークが引退。現在はオリジナルメンバーはトニー・ヒックス(g, vo)、ボビー・エリオット(dr)だけで毎年ツアーを行なっている。
 
冒頭の写真はパンフから。(66年。左から、Bernie Calvert (b)、Tony Hicks (g, vo)、Graham Nash (vo, g)、Bibby Elliot (dr)、Allan Clarke (vo))
 
一般的に代表作とされるのは60年代後半の3作(グレアムが主導してた時期ですね)、特にこれ。
 
 
シングルで一番有名なのがこれ。Bus Stop。
 
 
 
ちょっと前置きが長くなりましたが、そんなこんなで行ってまいりました。
会場の写真を撮るの忘れたけど、そんなに大きくない、ちょっと公民館っぽさも漂うホールでした。お客さんはバンドと同世代の方々ばかり…若者は皆無でした。まぁこれは仕方ない。でも、SOLD OUTというのはなんだか誇らしい気持ちになりますね!
普段はクラシックをメインに興行しているようで、ロックのコンサートとしては音響にちょっと不満でした(会場というよりPAがよくなかった…?)。
 

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(前のおじさんの頭からいろいろ察してください)
 
とりあえずパンフとかCDとか売ってるところも見当たらずおとなしく座って待っていると始まりました。”Here I Go Again”!
公演のタイトルが”Live in Concert - the Best of”というだけあって、選曲はヒットシングルが中心で大満足。ただ、華やかな60年代のヒットシングルよりも、聴かせたいのは70年代の曲なんだろうな〜、というところがすごく伝わってきました。
選曲的にも”The Day That Curly Billy Shot Down Crazy Sam McGee”(この曲をモチーフにしたTシャツが売ってた!)や一時的にボーカルが交代して不遇の時代とされている”The Baby”を取り上げていたり、アレンジ的にも70年代の曲の方が聴き応えがあって、バンマスのトニー・ヒックスの愛着(執着?)を感じました。
 
逆に、60年代のヒット群は現在のリードボーカル、ピーター・ハワースに合っていなかったりして、”I’m Alive”なんかは潔く外してもいいのでは…?という思いも(No.1シングルだからそういうわけにもいかないんだろうけど…)。新しいアレンジの”On a Carousel”や”Look Through Any Window”も悪くはないけど…という印象。あ、”Jennifer Eccles”でオーディエンスが口笛吹きまくってたのはよかった(笑)。
 
(昔の映像ですが…)
 
2006年のアルバム『Staying Power』からも”Emotions”と”Weakness”を2曲。ホリーズである必要性は微妙だけど(苦笑)、今のバンドにしっくりきててよかったです。
 

The Hollies Concert Setlist at Vostertfeesten 2015 on August 23, 2015 | setlist.fm

セットリストはアップされてませんでした…でもまぁここにあるのと曲目自体は大差ないです。
 
 
そんな現メンバーでの演奏はというと、前から分かっていた通り、ホリーズのトリビュートバンドにオリジナルメンバー2人が参加している、という感は否めませんでした。まぁこれも、仕方ない。
それでも、思ったほどシンセに頼ったアレンジは少なく、トニーが弾きまくるギターも聴けて、きちんとロックバンドとして満足できました。ただ、高音のコーラスに存在感がなかったのは残念。
ショーとしてもボーカルのピーターがちゃんと盛り上げるし、アットホームな場面もあり、トニー&ボビーへのリスペクトも忘れず、という完成されたものでした。キーボードのイアン・パーカーの”お調子者”ぶりが存外いいスパイスになってた。(ところでベースのレイ・スタイルズは齢なのかかなり体力が危うそうだったけど…大丈夫?)
 
とにかく私は大好きなトニー・ヒックスのギターを聴けて、終始ニコニコしておりました。ギターだけではなくエレキ・シタール、バンジョーと八面六臂の活躍で、彼こそがホリーズサウンドを支え続けてきたプロフェッショナルなんだなぁ、と改めて感じました。
それと、「彼らはデビュー以来、一年も欠かすことなく50年以上毎年ギグをやり続けている」という最後のMCにもとても感動しました。トニー&ボビーは本当に偉大なロックンローラーですね。(MCでのジョークじゃなくてボビーの自伝が出たら、買います…!)
 
一番素晴らしかったのがトニー・ヒックスがエレキ・シタールを弾きまくる”The Baby”。
”Stop! Stop! Stop!”(制作秘話のMCつき)、”We’re Through”というアコースティックなナンバーもライブ映えすることが分かって◎でした。
ボーカルのピーターがアコギで弾き語る”Sandy”も面目躍如。
 
(数年前のオーディエンスショットがあったので上げておきますね)
 
最後は最大のヒット曲、”He Ain't Heavy, He's My Brother”、”The Air That I Breathe”を連続でやって感動させ、アンコール的に”Long Cool Woman in a Black Dress”というロックな締め方で、スタンディングオベーションの中終了しました。
 
終わってからこぢんまりとパンフを売っていました。記念に買えてよかった。
いや、本当に「一生に一度生で」と思っていたホリーズだったので、いい思い出になりました。来年もドイツに来てくれますように…!
 

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