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A Dose of Rock'n'Roll

音楽、映画、たまに本、それとヨーロッパのこと。

ヴィジット(2015)

映画 アメリカ

『シックス・センス』のM・ナイト・シャマランによる久々のサスペンス映画。原点回帰的な作品としてそれなりに話題になっていたようです。

 

原題: The Visit
制作: 2015年 アメリカ
監督: M・ナイト・シャマラン
出演: オリビア・デヨング、エド・オクセンボールド、キャスリン・ハーン、ディアナ・デュナガン、ピーター・マクロビー

ヴィジット : 作品情報 - 映画.com

(特集もあるみたいです)

 

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あらすじ ・・・ 15年前の母の家出以来音信不通だった祖父母のもとへ、姉弟が1週間滞在することに。父との離婚がきっかけで母に連絡があったらしい。映画オタクの姉はその再会をドキュメンタリーにすることに決め、カメラを回し続ける。最初は何事もないように見えた田舎暮らしだが、祖父母の様子がおかしいことに姉弟は気づきはじめ・・・。

 

!!! 以下、ネタバレを含みます !!!

 

 

総合オススメ度    ・・・ ★★★★☆

シャマラン復活感謝祭 ・・・ ★★★★★

 

サスペンスとしてどうかというと、それなりに楽しめました。姉弟が”変な”祖父母に追いつめられていく「え?この先どうなるの!?ハラハラ」な王道の展開もテンポよく進むし、「なんでこうなってるの?」という謎もしっかりあるし。監督がトレーラーの最後で「あなたは既にだまされている」って言うのもそんなに嘘じゃないです。

www.youtube.com

でも、じゃあパーフェクトォォォォ!!って言い切れる傑作なのか、というと、個人的には「それは待って…」と言わざるをえません。なんでかって、ツッコミどころがあまりに多すぎるから(苦笑)。

  • ”ホラー映画の主人公セオリー”通り(私が勝手に命名しました)、姉弟逃げなすぎだし、
  • 潔癖性って最初に宣言しといたのに中盤全然潔癖じゃなかったし(その辺に落ちてる枝とか拾ってたし…)、
  • ていうか、最後のシーンまでママと祖父母が直接コミュニケーションしてないのは普通ありえないし(それ言ったら話が成立しなくなるんだけどさ…)
  • 霊的なものを期待させて結局そういうのはなかったんだけど、じゃあカメラが勝手にズームになるとこはどう説明するの?
  • あと最後、ママが来るまでの間(5〜6時間は経ってるはず)、通報を受けた警察が全く来ないのは田舎とは言えありえないでしょ…

ってなるんです。なので、ツメが甘い映画だと言うことはできるでしょうね…。

 

話を何転させるんだ、という話ですが、じゃあよくなかったの?って言われると、それほど悪いわけじゃないんですよ。だって、ふた開けたら「あそっかぁなりすまし詐欺かよー!」って単純なアレになるんだけど、気づかなかったもの。その単純なトリックに。私だけじゃなくて、なかなかこれは見破れないのでは?だからここは全てのツッコミに目をつぶって素直に監督に拍手していいと思うんですよ。

 

あと、書いとかないといけないのが、仕方ないなー目をつぶっちゃお!って思わせる監督そのひとなんですよ。いやね、だってね…かわいそうじゃないですか、『シックス・センス』を皮切りに一時期は時代の寵児になったのに最近のSFもの?とかは軒並み酷評で明らかに終わった人扱い…。

別に私もこの監督の作品全部好き!ってわけではないんですが、やっぱり『シックス・センス』のセンセーションが忘れられなくて…。それでなんか、トリック型のサスペンスを久々に撮った本作が妙に嬉しくなるんです。なんか、元気でなによりだなあ、成長してるよなあ、みたいな親心で…(もう何がなんだか

 

そう、監督、成長してるんですよ。本作では。

  • 最後に謎がとけるトリック型のお話って、シンプルだからこそ面白くて壮快!

という原点に回帰してくれたんですが、それを超真面目なテイストで撮らなかったのが実はシャマラン的には重要なところです。観賞後に壮快!と思ってもらうには、仕掛けは誰もが分かるシンプルなものでなくてはなりません。でも、それが逆に観る人によっては「おいおい、こんな引っ張ったのにオチが宇宙人これかよ…」って落胆につながるリスクもはらんでるわけです。だから、ラッパーのT・ダイヤモンドをちょいちょい出したり(ラストシーンは本当最高!)、終止緊張させない演出は大正解だったと思います。

 

それと怖さの中にほんのりおかしさもあって、そこもシリアスなだけのホラーよりも断然よかった。特におばあちゃんの奇人ぶりが半端ない。後ろ振り返ったらなぜかケツ出てたり、TV見て笑ってると思ったら誰もいない虚空を見つめてたり、あと最後の「ヤッツィーー!!」、最高でした(悪ノリしてない…?)。

もちろん本当はしてないけど、私の目には完全にメタラーに見えました。

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※ 偉大なボーカリストです。

 

霊的なものが出てくると思わせながら、実際にはモノホンの人間が一番怖いんやで…というオチだったわけですが、モンスターとか出ないでも十分成り立つ怖さを老夫婦役2人は演じきってました。

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ところでこのおばあちゃん、異常者にありがちなイカれた妄想を話し出すわけですが、霊じゃなくて…宇宙人かよっ!とつっこませるあたり、監督自身セルフパロディを狙ってるのかもしれません。そんな風に開き直っていいのか!?って気もするけど、別に開き直ってるわけじゃないのかしら…。

それにしてもタイトルが『ヴィレッジ』と酷似してるのはなんとかならなかったのか…。

 

最後にもう1つ監督を賞賛したいのが、「家族の物語」にしていることです。全作品を見通して言うわけではないんですが、シャマラン作品はどれも「家族」が重要なキーワードになっていて、本作もまさにそれをテーマに据えたものでした。ホラー要素を出しながらも、あくまで家族の絆を描こうとしたのは感動的で良かったです。そして、彼の映画づくりで大切なものをあくまで手放さない姿勢は、偉いなあ、と。

つっこんだらキリがないのになかなか憎めない作品でした。

 

 

eiga.com

説明不要のシャマラン監督の代表作。いまでは有名すぎてオチを知ってから観てしまってる人もいるであろうことが残念。

 

eiga.com

個人的には(劇場で観たこともあり)思い出に残ってる作品。これをどう評価するか自分の中でもかなり悩みましたが、実際世間でも割れてこれ以降シャマラン作品は低評価が続くことに…。

 

 

あ、最後に書き忘れてましたけど、前回に引き続きPOVものでした…!