A Dose of Rock'n'Roll

いろんな国の映画について書いています。それから音楽、たまに本、それとヨーロッパのこと。

ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭に行ったこと

ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭に行ってきました。うちからは車で2時間と少しなので2月に行ったベルリンよりも近いんですよね。陸続きのヨーロッパのすごいところです。

 
さて、この映画祭はと言えば、”ファンタスティック”と銘打っているだけあって、普通の映画祭とは一線を画しています。なんとなく名前からはファンタジー映画が多いのかな?と思いますが、実際にはホラー・サスペンスの祭典になっています!ファンタジー系の映画はもちろん上映されますが、ホラー系の作品が圧倒的に多いです(次点はSF?)。とりあえず、普通の映画祭とはちょっと違うことを2017年版のポスターを見て感じてください(笑)。

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ファンタスティック映画祭というのはどうもどこでもそういう定義らしく、このブリュッセルとシッチェス(スペイン)、ポルト(ポルトガル)とあわせて三大ファンタスティック映画祭と呼ばれているようです。日本では『アイアムアヒーロー』がこの3つを制覇したことで話題になりました。
ホラー、中でもスプラッタ系かゾンビ系が好きなひとにはなかなかたまらないラインナップになっているのではないでしょうか。
 
 

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中にも”その手の”グッズがたくさん!
 

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会場はブリュッセルのど真ん中。中央駅の裏側=美術館とかがあるアクセス抜群のロケーションです。きれいな街並みの中でホラーの祭典をやるっていうのが、いいですね(笑)。
 

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あと、どういう流れかイマイチ把握できなかったんですが、私が大好きな映画監督、アレハンドロ・アメナーバル氏が登壇されました!
 
のちに『ヴァニラ・スカイ』としてリメイクされたこちらが一番好き。
 
  • 中身はオタクの祭典だった
観客はかなり集まっていて、このジャンルの人気に改めて驚くと同時にこの映画祭の知名度もわかった気がしました。その会場ですが、ものすごい盛り上がりを見せていて、毎回の上映前に出てくる司会者に向かって観客が合言葉(多分、こんにちわBIFFF、みたいな?)を叫ぶ場面には本当に圧倒されました。ただ、私フランス語まったくわからないんですよね…(苦笑)。
司会の方が英語で訳してくれるところもありましたが、全体的にはフランス語メインでした。まぁ、これは仕方ないんですが(でも”国際”映画祭だぞ?とちょっと思いました…ちなみにベルギーでは街中でも普通にみんな英語できます)
 
めちゃくちゃ正直に感想を書くと、(アメリカの映画でよく描写される)ホラーマニアのオタクな方々が集まっていた印象でした。みなさんなかなかのTシャツ具合でしたし…(笑)。そういえば、ヨーロッパに住んでるとたまに驚くんですが、日本のイメージと違ってこちらのオタク系のひとって結構アグレッシブなんですよね。オープンというか。自分が参加したことないのに言うのもなんなんですが、今回の映画祭はホラー映画のコミケ?みたいなものなのかな、と感じました。
これも目玉だというボディペイントのひとには出会いませんでしたが、奇抜なコスプレのひとは結構いましたね。
 
  • 映画を観る環境としては最低
今回観た作品はどれも高品質で非常に楽しめましたが、観客がものすごくうるさくて、集中するのが大変でした。え?と思われるかもしれませんが、とにかく野次がすごかったのです。だらだら書いてもあれなので箇条書きにしますが、こんな感じです。
  • 始まってからも、うぉーー!いぇーー!と叫んでる人がいる(なぜ…?)
  • シリアスな場面でも誰かがおちょくるようなことを叫んで会場が笑いに包まれる(フランス語なので内容はわからないんですが)
  • (ホラーでありがちな)主人公が怖くて泣いてる場面などで「泣いてないで行動をとれ〜!」と異様に厳しい
  • エロいシーンがあると大勢のひとがヒューっと叫びだす
  • エロいシーンがあると「もっと見せろー!」とか騒ぎ出す
  • キスシーンがあると大勢が唇をチュッチュッとならす
  • 煙草を吸うシーンがあると大勢がゴホゴホやり出す
  • 犬が出てくるとアオーーーン!と遠吠えする人がいる
  • ちょっとでも悪い役が撃たれたりすると拍手喝采になる
  • なんかよくわからないけど派手なシーンがあると拍手喝采になる
 
ちなみに、普段私が観てるドイツの映画館では多少のおしゃべりと日本だと笑わないような箇所で多くの人がおおっぴらに笑う、ということはありますが、慣れれば気にもならないレベルです。それでも日本の映画館よりはうるさめなので、日本から初参加、というとびっくり仰天するかもしれません。
一番驚いたのは、ある映画のクライマックスでバラード曲がかかったら私の前の男性がライターをつけて手を振り出したこと(ライブでよくやるような)。
 
いやーーーーー、、、、苦行かと思いました
映画を見ているというよりは、スポーツバーでサッカーを見ている方が近かったですね。
映画祭というと、普通は映画がメインですが、祭りがメインになっているの、初めてでした。
 
ホラーファンのみなさんには年に一度の楽しいイベントだったのかもしれませんが、やはり映画をもう少し集中して見てほしいな、と。私は結構悲しかったです。普通に映画を観にきてるお客さんもいると思うので、会場側ももう少しその辺りの環境づくりを配慮すべきなのかもしれません。
 
 
改めて書きますが、上映された映画はどれも高品質で、良作を集めた映画祭だと思いました。それだけに、観客の質はとても残念でした。私は二度目はないですが、出展作品には注目したいな、と思います!(笑)