A Dose of Rock'n'Roll

いろんな国の映画について書いています。それから音楽、たまに本、それとヨーロッパのこと。

Under the Shadow(2016)

こないだブリュッセル国際ファンタスティック映画祭について書いたんですが、観た映画については書いてませんでした。人間の集中力が試される妙に厳しい空間だったとはいえ、良作ばかりだったのでちゃんと取り上げておきたいと思います。

(あとなんか日本語で書いてるのここだけ的な意味合いも期待しつつ…笑)
 
 
原題: Under the Shadow(ペルシャ語:زیر سایه)
製作: 2016年 イラン
監督: Babak Anvari
出演: Narges Rashidi、Avin Manshadi、Bobby Naderi
 

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2016年のイラン映画。イラン・イラク戦争中のテヘランを舞台として、イラクからミサイルが撃ち込まれる危機的な状況の中、あくまで避難しないで家に残ろうとする母娘に起こる怪奇現象を描く(夫は徴兵されてしまう)。
 
 
総合オススメ度         ・・・ ★☆
和製ホラーよりも子役が力強い度 ・・・ 
 
お話としては、それなりによくある「家の中に何かいる!」というタイプで目に見えない「何か」におびえ、娘が連れ去られようとするところで母が奮闘する、というもの。一箇所心臓が止まるかと思うほど驚かせる箇所がありますが、それ以外は普通の心霊怪奇ものとして楽しめます。ボロのないつくりで主演の母娘2人も熱演していて、高品質。
 
それにしても随所で感じたのがジャパニーズホラーのテイスト。終始家の中に暗い雰囲気を漂わせて緊張感を演出するところや、それが何かわからずに親子がおびえるという構図(そしてその正体に関しては最後までかなりひっぱる)など、逆説的に日本の高品質なホラー作品が築いてきた影響を感じました。イラン版『呪怨』といったところでしょうか。
 

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Narges Rashidi Horror Film Video | InStyle.com (インタビューあり)

 
なお、主演女優(主要な人物って母娘しかいないんですけどね)Narges RashidiさんはWikipediaによればイラン生まれながら幼少時に一家でドイツに移住。現在はロサンゼルスに拠点があるみたいですが、そういう関係でドイツの映画にも何本か出ているようです(一番有名なものだとティル・シュヴァイガー監督の『Kokowa 2』あたりかな?)。頭にスカーフ(ヒジャーブ)を巻いてないので?と思いましたが、イラン在住ではないからなんですね。
 
ところで、イランの映画をいくつか観ていて気づいたんですが、「ありがとう」をメルシー!って言うんですね。ペルシャ語の基本的な語彙がフランス語からの借用語というのは、かなり驚きました。