A Dose of Rock'n'Roll

いろんな国の映画について書いています。それから音楽、たまに本、それとヨーロッパのこと。

Blue My Mind(2017)

ワルシャワ映画祭のことを書いていたら今年の1月末に行ったロッテルダム映画祭のことを思い出しました(すでに10ヶ月前……時間あれば書きたかったのですが…)

 

そこでもいくつも良作と出会えたんですが、本作はめでたくドイツや日本でも最近配給になったようで。プレミア直後に数社から声がかかったと監督が話していましたが、それが結実するのを見るのはやっぱり嬉しく、映画祭の醍醐味なのかもしれません。

 

最近スイスの映画でいいものないかな〜、と思っていたところでちょうど観れたので僥倖でした。それにしても、スイスドイツ語なのでこれオランダ語?ってぐらい聞き取れず。英語字幕で見てよかった、、、(傷つくドイツ在住のプライド…笑)

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Erfolg folgt auf Erfolg: ZHdK-Abschlussfilm «Blue My Mind» | ZHdK

 

ブルー・マインド : 作品情報 - 映画.com

 

 

!!! ここからはネタバレを含みます !!!

(この作品は知らないで観た方が面白いです)

 

 

 

トレーラーから単なる”思春期の少女たちのゆれる心と背伸びしながら生きる姿を描く”映画ではないのでは?と思って観たんだが、予想まさにどんぴしゃ。多少のホラーテイストを織り込むところまではわかってたがまさかこんな異形の物語に着地するとは。

鑑賞時、かなり驚かされて誰かと話したくてならなかった。それを予想させないのも「青州映画とホラーのミックス」の水準が非常に高いから。

前半の青春時代ならではの揺れ動く心模様はそれだけで作っても好きな向きには大いに受けるだろう。そこから打って変わってグロテスクな怪物に変化してしまうのだが、その”モンスターもの”としての視覚効果もまた素晴らしいのだ。まさに「Blow my mind」*1。タイトルはこれをもじったものだと思われる(ので欲を言うと邦題も準じて欲しかった)のだが、そんなちょっとおふざけ感あるタイトルをつけてもいいぐらい、監督の長編処女作として胸を張っていいものだと思う。

結果的に 1+1を2以上にしたなかなかの佳作として、オススメです。

 

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監督自身も嬉しそうに「青春映画とホラーファンタジーの融合を目指した」と語っていたのが印象的(ロッテルダム映画祭なんですが、全然良い写真じゃなくてすみません……)。リザ・ブリュールマン監督は女優としていくつもの映画にも出演しています。→ Lisa Brühlmann - IMDb

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天は二物を与えてる感あるな…。

Rotterdam 2018 Interview: Lisa Brűhlmann Talks Female Sexuality, Identity and Storytelling in BLUE MY MIND

ところで主演女優(Luna Wedler)、クロエグレースモレッツに……似てない…?(またそれか)

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Das schönste Mädchen der Welt - SonntagsZeitung - derbund.ch

 

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少女は変態する…『ブルー・マインド』予告、金魚を食らう衝撃シーンも « 映画ランドNEWS

日本版のポスターは明らかにこれ↓↓を意識してる(でも、例によってポスターでバラしちゃダメじゃん!!!!)。

ちなみに私はこっちのポーランド映画の方はイマイチでした。こちらの方はホラー色は薄く、ファンタジーを強調していて若干ミュージカルなところもあるので、好きな方は好きかも。しっかし最近、人魚はやってるの…?

eiga.com

*1:度肝を抜く、の意。これを過去形にすると"blew" my mind となる。