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A Dose of Rock'n'Roll

音楽、映画、たまに本、それとヨーロッパのこと。

The Other Side of Hope(2017)

映画 フィンランド

アキ・カウリスマキの新作を観てきました。そう、前回書いた2月のベルリナーレで銀熊賞を取った作品です!
作品そのものよりも監督が60歳を節目として引退することを宣言して話題になってましたね。
だからと言ってあんまり本作を集大成とは言いたくないのですが…(そもそもまだ彼の新作観たいですしね…^^;)。


原題: Toivon tuolla puolen / 英題:the Other Side of Hope 邦題未定。
制作: 2017年 フィンランド
監督: アキ・カウリスマキ
出演: Sherwan Haji、Sakari Kuosmanen、Kati Outinen、Janne Hyytiäinen、Ilkka Koivula

 

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あらすじ ・・・ シリアからの難民の男がフィンランドにたどり着く。紆余曲折を経ながらもポーカーがめっちゃ強い男が経営するレストランに住み込みで働くことに。そうしながらはぐれてしまった妹を探すことになるが・・・。

 

結論としては、カウリスマキ節は健在!!ながらも、意外にもポップさがある作品だと思いました。

 

  • 難民がテーマ

最初に驚いたのが、この映画が”難民”をテーマにしていること。いや、今までもそういう作品はあった。前回の『ル・アーヴルの靴みがき』は密航者の少年をテーマにしたものだったし。でも、『ル・アーヴル』での主人公はあくまで靴みがきのおっさんだったのに対し、今回は難民としてフィンランドにやってきたシリア人の青年そのひとなのだ。

確かに、アキ・カウリスマキ監督は一貫して社会的弱者が救済される人間賛歌を描いてきた。だから毎回貧困がテーマになった。でも、ここにきて彼の視点が(『ル・アーヴル』もそうだったように)よりホットな話題に移行しているのは確かだと思う。今回はそうした趣きの2作目で、監督曰く「三部作にするつもりだったが最後の3本目は撮らない」そうで…。

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  • 健在なカウリスマキ節

演出に関してはそれほど往年の”カウリスマキ節”全開というわけではなく、これまでの彼の作品を知らない観客でも接しやすかったのではと思う。セリフも多め(ちなみに半分ぐらいが英語)。

ただ、なんかそれじゃポップすぎると思ったのか(思ってないか)、後半はセリフが少なくなっていって、とりあえず主人公は今回もボコボコにされる憂き目にあう(笑)。

セリフと同じようにドラマの展開も絶妙。前半のシリアスなドラマから後半どんどん軽妙になっていくのだが、この辺りを軽くやってのけるのが熟練の技というところか。一番笑ったのが、集客のために日本食に鞍替えしたレストランでスシに山盛りのわさびを盛るシーン。私が観たドイツの映画館でも観客爆笑でした(笑)。

 

そんな感じで、いつもよりも観やすい作品に仕上がってはいても「あーカウリスマキ映画だなあ」と思えるのは、それはあくまで彼ら難民に希望をもたらす映画だから。人間賛歌って言うとすごく安っぽくて私はあまり好きな言葉じゃないんだが、それでも彼の映画に通底するすべての人に対する暖かい眼差し、これこそが彼の映画を「すばらしい」と言って人にオススメできる理由なんですよ。今回も、そうした希望を見出した主人公の最後の表情(そしてそれで終わるという映画の作りも)、最高だった。。。

 

  • 健在なカウリスマキ俳優

嬉しいのがもう、冒頭からカティ・オウティネンが出てくるところ!最初に”集大成とは言いたくない”とか書いたけど、常連俳優が勢ぞろいして監督引退の花道を飾る雰囲気もなきにしもあらず…(苦笑)。

私、『街のあかり』を自分のオールタイムベストに挙げてるんですが、その主人公の2人、ヤンネ・フーティアイネンとマリア・ヤルヴェンヘルミ、さらにはイッカ・コイヴラまで出てきて…いやーわかっちゃいてもここは感激でした。

それから拾ってきた犬をレストランで飼うことになるんですが、名前は「コイスティネン」!言うまでもなく(あるか)犬の隣に立っているヤンネ・フーティアイネンが『街のあかり』で演じた役名です。

それからコイスティネン、ついにミリヤとダンスできちゃいました!……いやここ個人的には嬉しすぎて泣きそうでした。。(笑)

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  • 健在な音楽への情熱

それともうひとつ彼の映画で楽しみなのが音楽。ちょっと古臭いロックンロールやロカビリー、フォークソングなどが今回も健在で◎。近作(といっても過去10年の話だが)『街のあかり』『ル・アーヴル』に比べると音楽のシーンは多めで、大半がフィンランド語の歌唱。

ちなみに、日本語の曲も1曲登場!(『過去のない男』で使われたクレイジーケンバンドかと思いましたが、Shinohara Toshitakeさん。これまた『ラヴィ・ド・ボエーム』で使われたアーティストですね)

 

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っていうか、ここまで書いて気づいたんですが、タイトル『The Ohter Side of Hope』はそのまんま”希望”ってうたっちゃってますね。でも、Other Sideなんてどこ吹く風。これこそ「希望」だという堂々とした映画でした。

うーん、”めちゃくちゃ怠惰だし”とのたまう監督、次回作も期待してます……!

 

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あ、ところで、この難民役の彼、山田孝之さんに似てないですか…?(笑)

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Festival di Berlino 2017, l'uguaglianza fra esseri umani è possibile. The other side of Hope la prima volta di Aki Kaurismäki in concorso - Il Fatto Quotidiano

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Sherwan Haji Photos Photos - 'The Other Side of Hope' Press Conference - 67th Berlinale International Film Festival - Zimbio

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