A Dose of Rock'n'Roll

いろんな国の映画について書いています。それから音楽、たまに本、それとヨーロッパのこと。

EU Film Days 2016 / Made in Hungaria (2009)

そういえば、こないだオーバーハウゼンの短編映画祭のことを書いたのですが、もうすぐ日本で開催される面白い映画祭の情報をたまたま見たのでシェアしておきますね。
 

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EU Film Days 2016
 
 
公式サイトがこちら。
(※ 音声が出るのでご注意ください!)
 
 
 
「映画で旅するヨーロッパ」というキャッチコピーの通り、ヨーロッパ各国の映画が一挙に観れるなかなか稀有なイベントです。2016、とついているところからも分かる通り毎年開催されています。
 
私が学生のころから毎年開催されているので10年以上続いているイベントです。しかも学生はなんとたったの300円!
 
さまざまな国の文化を広く紹介することには諸手を挙げて賛成な私なので、本当に素晴らしいイベントだと思っています。東京っていい街だな〜。
 
国によっては最新作じゃないこともあるのが玉に瑕ですが、それでもここでしか観ることのできない映画を毎年やっているので、映画が好きな人には本当にオススメです。ブルガリアとか、ラトビアの映画なんて普通観れませんしね。
 
東京が6月18日〜7月10日、京都では6月25〜翌月15日まで開催しているようです。宝町なつかしいな〜。
 
 
 
そんなEUフィルムデイズで2012年に観た最高の作品がこれ。日本では『メイド・イン・ハンガリー』というタイトルで公開されていました。
1950年代に、当時は共産主義国家だったハンガリーでロックンロールを根付かせようとした実在のロッカーの話。とにかくもうそのロックンロールが(しかも主人公はギターじゃなくピアノ!)たまらなく爽快で、もう一度どころではなく、家に置いておいて折に触れて観たい作品になりました。
そもそもハンガリー映画って他にあまり知らないのですが、個々のキャラクターも魅力的で、お話の運び方もすごくスムーズ。ハリウッド映画と比べても全く引けをとらない、しっかりと作られた映画です。
 
ただ、今に至るまでDVDを発見できてないんですよね……。いや、あるにはあるんだがマジャール語オンリーで、さすがに字幕がないときつく…(Blurayでは英語字幕があるようだけど)。
どなたかご存知であればぜひご一報を…!
予告編ですでに最高!
 

ポール・マッカートニーのデュッセルドルフ公演にいってきました

というわけで先週の土曜日、ポール・マッカートニーのライブに行ってきました!
 

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(写真はパンフの表紙から)
 
前回のホリーズと違ってバンドの説明がいらないから、楽ですね(笑)。
念のため再確認しておくとビートルズは私の永遠の憧れで、昔バンドでベース/ボーカルをやってた私は何を隠そう、、、ポール・マッカートニーが、、、いやポール様が、、、大好きです
 
 
 
……一旦落ち着こう…。
 
ヨーロッパでポールを観るのは2015年のアムステルダム公演以来1年ぶり、2回目。そして今回は初のホーム戦であります。
今年から開始されたツアーのタイトルはOne On One”ツアーと題されており、5月28日のデュッセルドルフ公演は栄えあるヨーロッパツアーの初日でございました。
 
 
(今日も、、、長いです笑)
 

コロニア(2015)

原題: Colonia (というかまだ邦題がないのですが…)
制作: 2015年 ドイツ、ルクセンブルク、フランス合作
監督: フローリアン・ガレンベルガー
出演: エマ・ワトソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・ニクヴィスト
 

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ピノチェ軍政下の1970年代のチリを舞台にしたサスペンス。反政府活動に従事するドイツ人のダニエル(ダニエル・ブリュール)のもとを、CAの仕事でチリに寄った恋人のレナ(エマ・ワトソン)が訪れる。しかし、二人の幸せな時間は長くは続かないのだった。街頭で警官が市民を虐待する様子をカメラに収めたことで、2人は逮捕されてしまう。そして、ドイツ人移民コミュニティに移送されたダニエルを追って、レナは潜入を決意する。そこは移民コミュニティとは名ばかりの”出ることの許されない”カルト教団だったのだ…。
 
 
!!! 以下、ネタバレを含みます !!!
 

悪党に粛清を(2014)

原題: The Salvation
制作: 2014年 デンマーク・イギリス・南アフリカ合作
監督: クリスチャン・レブリング
出演: マッツ・ミケルセン、エヴァ・グリーン、ミカエル・パーシュブラント、ジェフリー・ディーン・モーガン
 

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デンマークから兄弟で開拓時代のアメリカに移民してきた男の物語。移民後7年経って妻子を祖国から呼び寄せたものの到着したその日に通りすがりの悪党に殺されてしまう(悲しすぎる…)。
実行犯の悪党はとりあえず射殺したものの、問題はそいつの兄貴。元兵士だが今は街の用心棒という名目で住民を支配しているヤクザみたいな悪党だったのだ。そしてマッツ・ミケルセン演じるジョンの復讐が始まる…。
 
!!! 以下、ネタバレを含みます !!!
 

ホリーズのボン公演に行ってきました

先週の木曜日、5月19日に長年の憧れだったホリーズのドイツ公演に行ってきました。
会場はボンのベートーベンホールというところ。たいてい外国でのライブは毎年1公演だけなので、今年のドイツ公演が自宅から車で1時間なんて幸運にむせび泣きました。
 

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(今日は長いです…笑)
 

オーバーハウゼン国際短編映画祭で観てきました その3

3つ目です。この回だけ初回でなかったので監督のあいさつはなし(終了0時だったし…)。

 

インターナショナルコンペティション部門 第3回

 

Two Ways Down, Laura Heit, USA, 2015, 3'23"

 

会場を間違ったので残念ながら見れませんでした…orz(間違えた会場で上映されてたムービーアウォードのビデオクリップのひどかったことと言ったら…!)
 
Eleganssi, Virpi Suutari, Finland, 2015, 25'42"
 
現在では珍しくなったと言っていい狩りを楽しむ男たちの作品。狩りがどう進んでいき最終的に調理されるまでを丹念に描いている。…まぁそれだけなんだけどさ。
 
紅花の影色染め, Oki Kayako, Japan, 2015, 10'

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これも日本の作品でどんなのかワクワクしていたんだが…なかなか”芸術的すぎる”作品だったかな…(これは一緒に行ったドイツ人の友人の言)。紅花を採って、染める過程を写すのかと思いきや瓶を鳴らす音を繰り返しながら紅花の絞り汁がシャーレに落ちていく様子がひたすら流れるだけ。
 
※ 日本でも上映されたみたいですね。アップリンク!また行きたいなあ…。
 
Four Edges of Pyramiden, Ieva Epnere, Latvia, 2015, 20'04"

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ラトビアの作品、だけど基本はロシア語で既に遺棄された島、ピラミッド島について語る希有なドキュメンタリー。そう、なかなか変わった名前の島で、調べてみると北極圏にあるスヴァーバル諸島のひとつだそうです(↓ここ)。すんごいところにある。現在はノルウェー領で島には誰も住んでないみたいですが、そんなところにレーニン像がたたずんでいるのはどうもシュールである…。

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※ 廃墟好きとか、興味ある方は調べてみてください。なかなか面白かったです。
 
Nimmikaage (She Dances for People), Michelle Latimer, Canada, 2015, 3'57"

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4分にも満たない作品ながら、個人的には大変印象に残りました。イヌイットの人々の生活と豊かな自然がモノクロで写し出される。ひとつひとつのシーンの間に挿入される女性の自然をあがめているような踊りと表情が非常に生き生きとしていて、大変気に入りました。
Hubris, Pavel Medvedev, Russia, 2015, 20'15"
 
Hubrisというのは傲慢さ、の意味らしいが、ロシアのプーチン大統領を批判する映画。視点があまりに一方的で見ていて退屈だった(長いし)。彼がしているという情報操作を批判する立場のあんたがしてどうする。
 
 
 
うーん、最後はもうちょっと感動的に〆たかったな〜…。また来年!

オーバーハウゼン国際短編映画祭で観てきました その2

続きです。
 
インターナショナルコンペティション部門 第5回
 
 
Cipka, Renata Gąsiorowska, Poland, 2015, 8'22"
 
ポーランドの女性監督のアニメーション作品で、タイトルはずばり”Pussy”。女性のオナニーについてコミカルに描いた作品でかなり笑いをとれていた。女性器が飛び出していってという発想が面白いし、全体的に温かみのある描き方でよかった。
 
Centre of the Cyclone, Heather Trawick, Canada/USA, 2015, 18'20"

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一緒に行った友人と妻、全員から不評だった作品。上映前の監督の謎の自信とは裏腹に、前半は荒涼たる自然、そして後半は60年代風のサイケな映像で壊れた車の大会(?)を写す。今の時代にそういった感じの映像を撮ることには賛否あるだろうが、まぁテーマは一切伝わってこなかったよね。長いし。
 
Tristezas, Paz Encina, Paraguay, 2016, 7'12"
 
国を出て久しいというパラグアイの女性監督によるかなり政治的な作品。草むら(畑?)を兵士が横切るスローモーションの映像を背景に、一聴してそれとわかる軍人の扇情的なスピーチ、それに続いてある男の2種類の電話での会話が重ねられる。一つは母親に無事を告げるもの、もう一つは恋人か友人に対して「何もせずに引き下がることはできない」という、正反対のメッセージ。相手の音声は再生されず一方的なスピーチで、起承転結があるわけでもなんでもないのだが、戦争によって一人の男の人生が捻じ曲げられていることがよくわかる秀作だった。タイトルは、スペイン語で「悲しみ」の意。
 
Adaptacja, Bartosz Kruhlik, Poland, 2016, 22'36"
 
今回の映画祭中最も良かったのが本作。ポーランドの作家による、ある家族に起こった悲しみ、そして苦しみを描いている。兄が運転する車で弟が亡くなった直後から映画は始まっている。母はただ亡くなった弟を恋しがり、父は兄を憎む。そうした状況で自分が大切にされていないという感覚を募らせる主人公。彼が最後に走りついた色とりどりの光に包まれた場所はどこだったのか。暗示的なラストを含め、22分ながらも物語のある映画としてきちんと完成されていた。ぜひ長編も撮ってほしい。カンヌの”ある視点”とかに出品されてそう。
 
 
Omokagetayuta, Ohtakara Hitomi, Japan, 2016, 9'24"

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面影たゆた、という東京芸大の学生が制作した作品。母に対する気持ちをお餅のようなものに象徴させて、彼女の思い出をセンスとテンポのいい映像で綴る。最後には衝撃的な事実が明かされるのだが、これは彼女の実体験なのだろう。見始めたときには少しエモーショナルにすぎる、と感じたものの、最後まで見ると意味がわかった。逆に、そうした大きな悲しみを乗り越えるためにこの作品を作ったのだとすれば、それがこんなに整理された美しい作品として昇華されたのかと思い、心打たれた。
 
Robijnrood, Manon de Sutter, Belgium, 2015, 6'07"
 
凍った鳥が焼かれるというどうも暗示的なシーンに道の下で泳いでいるシーンなどがオーバーラップする。映像の感覚としては良かったのだが、短編映画としてはちょっと意味が…。
 
Snö, Richard Dinter, Sweden, 2015, 10'
 
「雪」というタイトルだけに、映像はひたすら車窓からの雪道。基本的にはそれは背景に過ぎず、幼い頃に体験したという不思議な物語の「語り」がメイン。語りだけだと10分は長く感じたが、ちょっとNHKの童話の読み聞かせみたいなものを思い出し、懐かしくてよかった。