A Dose of Rock'n'Roll

いろんな国の映画について書いています。それから音楽、たまに本、それとヨーロッパのこと。

Exil (2020)

実はロックダウン以後今月まで映画館通いを復活できていなかったのですが、ついに先日再び映画館へ。当たり前ですが、家と映画に没入できる度合いが全然違って良いなあと思いました。

さて、そんな久々の映画館作品は、すごく”ベルリナーレっぽい映画”でした。以下、短いですがレビュー。そういえば、来年はベルリン映画祭、行けるのかなあ。。

 

 

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Exil (2020) - IMDb

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いかにもベルリナーレのパノラマでやってそうな、予想以上の”ハネケ映画”だった。これは私が勝手に作った造語でミヒャエル・ハネケに代表される、説明的なストーリーの運び方や演劇的な演出、過剰なBGMの排除といった演出的な技法に加えて物語自体も一見しただけではよくわからない、あるいは明確な結論が提示されないような不条理劇を特徴にした作品群のこと。あらゆる意味で作り手が観客に寄り添わないことで強制的に「考えさせる」ことを目的としているとも言えるし*1、淡々としているのに意外な展開や衝撃の結末が待っていることも多い*2

私はこういう不条理劇が個人的に好きなのだが、その理由の一つが「わかりやすいお話を持った映画よりもむしろリアルだから」という点がある。そう、現実の世界で生きる一人の人間にとっては「筋が通っていて」わかりやすいことの方が少なく、そうした自分の主観だけでは到底理解できない部分に目を凝らすことこそ世界と対峙する、つまり生きることに他ならない。もし自分の世界には理解できることしか存在しないというならば、それは単に理解できないことに対して無意識的に目を瞑っているに過ぎないのである。

 

このような意味(演劇的な作品よりも現実に迫っている)で、多くの不条理劇がより「日常的な」テーマを扱っているのは当然といえる。ドイツに住むコソヴォ移民である主人公が出どころのわからない悪意に苦しむという本作『Exil』も同じだ。

主人公ジャファー(Xhafer)は家族とともにドイツに住み研究所に勤める平凡な男だが、ある日を境に自宅に動物の死骸が投げ込まれたり、何者かによってベビーカーが燃やされていたりという嫌がらせを受けるようになる。彼はそれが職場の上司によってなされており、さらに原因はコソヴォからの移民という自らの出自に起因するものであると感じる。正体を突き止めようと歩き回る主人公はしかし、もがけばもがくほど蟻地獄の深みに嵌っていくのだった。

 

正体のわからない悪意に主人公が翻弄され精神の均衡を乱される様は、まさにハネケ『隠された記憶』を彷彿とさせる。過程と職場の往復という淡々とした毎日に奇妙な効果音だけをアクセントにし、ゆっくりとだが確実に主人公の正気を奪い「自分はこの社会から阻害されている」という確信に至らせる展開は、スリラーとしてもなかなかのもの。

さらに、”同じアルバニア系移民からの搾取(と露見)”という主人公自身の正当性への疑問を感じさせるイベントから、途中までジャファーとともに真実を見極めようとする観客が、実は彼についてのことを彼からしか知らないでいることに気づかせるという手法も秀逸だ。

これは語り手の信頼性*3を損なうことによって(スリラーとしては恐怖に直結する部分でもある)、日常への深い疑念を抱かせ、最終的に主人公が確信を深める「コミュニティからの疎外」を観客が体験する装置として機能している。

欧州各国では今や「日常」となっている移民をテーマに扱い、スリラーとしての手法で彼らの疎外感をあぶりだすことで逆に自分たちが生きる社会・日常への疑義を抱かせる、なかなかの佳作だった。特に有名な賞を取ったりもしていないので日本公開はない気がしているが、ミヒャエル・ハネケ好きの方にはぜひお勧めしたい一本。

 

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監督のヴィザール・モリナはコソヴォ出身で15歳からドイツに移住してきた人物。本作が長編2作目となるが、前作『Babai』(2016)はアカデミー賞外国語映画賞のコソヴォ代表作品として出品されたもので、こちらも機会があれば是非おさえてみたい。

キャストについても触れておくと、主演はドイツで活躍するクロアチア系の俳優、ミシェル・マティチェヴィッチ。さらにドイツ人の妻役では『トニ・エルドマン』や『希望の灯り』といった作品から日本でも知られるザンドラ・ヒュラー。さらに、私のなかでは”ありとあらゆる現代ドイツ映画に顔を出す”名バイプレイヤーのライナー・ボックが脇を固めている。

*1:ハネケ監督自身が『ベニーズ・ビデオ』のDVD特典にあるインタビューで「観客を揺さぶり起こす」ことに言及している。

*2:この「衝撃の結末」という言葉は誤解を招きがちだが、単なるどんでん返しがあるという意味ではなく、むしろ人物が衝撃的な行動を取ったにもかかわらずその背景が観客に必ずしも明かされないことが多いことを指している。

*3:わかりやすく言えば、一般的な物語での主人公というのは観客(あるいは読み手)がその視点から物語を眺める装置であるからして、彼/彼女が”良い人”=嘘を言っているわけではないという正当性が担保されている。逆にその部分への担保がなくなるということは語り手のことを信用できなくなるわけで、クリスティが有名だが推理小説では叙述トリックにも使われる(映画で言えば『シークレット・ウィンドウ』なんかもこの類だ)。

本作がどこまでそれを意識していたか(あるいはそれがスリラーとしての解なのか)はわからないが、注意深く見てみると鼠の死骸や燃えるベビーカー、さらには突然の投身自殺など、それぞれのイベントは「彼しか」いないところで起こっていることが分かる。

Thirty Three & 1/3 / George Harrison (1976)

タイトル通り、ジョージが“33歳4ヶ月(3分の1)”のときに制作されたアルバム(33&1/3というのはLPの回転数とかけている)。自身が設立したダークホースレーベルから出た初のソロ作品でもあり*1、1976年11月リリース。

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ビートルズ以後のジョージ・ハリスンのソロ作といえば、やはり『All Things Must Pass』だろう。一般的にもロックの名盤とされているので、これだけは聴いたこともあるという人も多いかもしれない。

そういう意味では今回取り上げる本作は、はっきり言って地味な部類と言える。少なくともアップ ル時代の作品を何枚か聴いたファンでなければ手に取らないようなものだと思う。 にもかかわらず、あえて取り上げたいのはこのアルバムが“ジョージ・ハリスン”というアーティストのイメージを塗り替えるのにもってこいだからだ。

 

一般的なジョージに対するイメージといえば、「繊細さ」だと思う。線の細いボーカル、“Something”に代表される美しいバラード。なおかつ、ビートルズのリードギタリストというポジションでありながらも、クラプトンのようなギターヒーロー扱いされないことも、どこか控えめで自らの情熱の表現よりも旋律の美しさを追求しているようなイメージを補完している。

 

しかし、実際にはジョージ・ハリスンという人は意外なほどリズム志向の人だ*2。たとえば、『All Things~』を名盤足らしめているのはその根底に流れるレイドバックしたリズムであることを忘れてはならないし(そのリズムが流れながらも最終的に正統なブリティッシュロックを聴いたという感想にさせてくれるところにジョージの拭い難い個性があるのだが)、遺作にもハワイアンなウクレレ曲が入っていたりする。やっぱりビートルズの一員だっただけあってメロディだけではなくリズムから音楽をどう聴かせるか考え続けてきた人なのだ。

 

そんなジョージがカントリー寄りではなく、もっと都会的なリズム・アンド・ブルースを聴かせてくれるのが本作。なにしろもう針を落とした瞬間から格好良い。ドラムに粘っこく絡みつくベース(リズム隊はウィリー・ウィークスとアンディ・ニューマーク!)に「これがジョージ……?」と驚かされていると彼のスライドギターが何食わぬ顔ですいっと入ってくる。いやもう一回言うが、格好良い。ジョージのアルバムの中でも屈指のイントロである。

同じくファンキー路線では彼のキャリアの中でも最もダンサブルな1曲「This Song」もおすすめ。これに代表されるように本作のジョージはすごく「元気」で、それがこのアルバムのポイントの1つとなる。

まぁ前作『Extra Texture』が元気なかったと言いたいわけではないのだが(でもあんまり元気な感じしないよね?笑)、とにかく晴れて自分のレーベルから作品をリリースできて心機一転のびのびやるぞ!という心意気が伝わってくる出来栄えだ。

個人的にはアメリカ建国200周年のサングラスをかけたジャケットにもそういう“気合い”と“余裕”が溢れていて気に入っている。

 

アルバムのトータル感という面では、ベストと推すファンも多い次作『慈愛の輝き』に譲るものの、曲も粒ぞろい。

“Learning How to Love You”のような美しいバラードや“Dear One”“Beautiful Girl”のような小品も既定路線のジョージとしての聴き所だろう。また、個人的には「都会のジョージを楽しむ」がこのアルバムのテーマなので“It’s What You Value”のようなカラッとしたリズムのある曲を聴けるのも醍醐味。1曲だけのカバー“True Love”“Pure Smokey”でルーツをのぞかせるところもファンとしては嬉しい。

それから”Crackerbox Palace”。B面4曲目という地味な位置に収録されているが、非常にジョージらしい名曲だと思う(アメリカではシングルカットもされている)。曲自体はアコギ1本で弾き語れるような曲調で複雑なコードも一切使われていないのだが、アレンジが凝っている。ブレイクを多用しながら粘るリズム隊、リズムギターにはフェイザーもかけられており*3、さらにブラスを絡ませながらまるで管楽器のように全編でジョージがスライドをたっぷり聴かせてくれる。こうした贅沢なアレンジを施しながら聴いたあとに“こってり”した感触が耳に残らないところに、ジョージの個性がすごくにじみ出ているのだ。
歌詞はジョージが子供の頃に好きだったコメディ俳優の自宅から着想を得たものらしいが、これも「クラッカーボックス宮殿へようこそ、お待ちしておりました」と少しミステリアスで示唆に富んでいて良い。

 

この“Crackerbox Palace”(お城みたいな自宅「フライヤーパーク」)も含めて本作からはたくさんプロモーションビデオが撮られているのもポイントだ。のちに映画製作会社も立ち上げたジョージだが、全体的に彼の“お笑い趣味”が炸裂したPVばかりで、楽しい。中でも「This Song」は曲のノリをさらに拡大するようなモンティパイソン調ドタバタが展開されており一見の価値あり(公式はこちら)。*4

 

そんなダークホース時代の1作目、『33 & 1/3』。個人的にはジョンの『Mind Games(ヌートピア宣言)』と並んで「意外な面がのぞける名盤」なのだが、2017年リマスターがかなり入手しやすく2004年リマスター版は配信でも手に入る。『All Things~』や『Living In the Material World』を聴いてさらにジョージを深めたい、という方はぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。

 

まずはノリノリのこちらから!

youtu.be

*1:このレーベル自体は2年遡ることの74年に設立されており、ジョージ自身も『Dark Horse』というアルバムを出しているが、契約の関係で次作『Extra Texture』まではアップルからリリースされた。

*2:これは白人が演る黒人音楽をとことん追求し新しいジャンルを切り開いたビートルズのメンバーすべてに共通していることだ。ウィングス時代にもリードベースをぶんぶん言わせてたポールはもちろんのこと、ジョンで言えば『Mind Games』『Walls and Bridges』あたりがわかりやすいか。リンゴは意外と若いころのソロ作でリズム的な意欲が見られないが90年代以降の作品はどれも非常に面白い。ついでに近作を紹介した記事はこちら

*3:MXRのPhase 90ではないかと長年疑問なのですが、そういう写真を見たこともなく、情報お持ちの方はぜひ教えてください。

*4:"True Love"だけ公式でないのですが、一応リンク載せておきます。これが一番お笑い一直線でもとの映画をジョージが真似してるんですが、全体的になぜかビートルズ時代の悪ふざけに見えてくる(笑)。

メルテム(2018)

先月紹介したEUフィルムデーズ。各国高水準な作品ばかりで素晴らしい企画だったと思います。その中から1本。結構タイムリーに書いたのに、投稿するのを忘れていました…(苦笑)。

ポスターにも使われ、今回の映画祭の顔になった作品です。

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メルテム 夏の嵐 : 作品情報 - 映画.com

メルテム ー 夏の嵐 | 上映作品 | EUフィルムデーズ2020オンライン

 

あらすじ:
主人公メルテムはギリシャ人だが母親を嫌ってフランスに移住したという人物。彼女が2人の友人と一緒に故郷に戻ってくるところから物語は始まる。男友達の1人ナシムはメルテムに恋心を抱いており、旅の最中にその思いを告げようとして悩む。そこにフランス語を話せるシリア難民の男性エリアスが現れ、一行はなんとか彼を助けようとするのだが……。

 

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ジョジョ・ラビットについて

2019年にいくつもの映画祭で公開されていたこの作品、鑑賞したものの言いたいことがかなりあったので記します。

 

ジョジョ・ラビット : 作品情報 - 映画.com

今回は画像なしで良いです。

 

ネタバレもちょっとありますが、めちゃくちゃ酷評しています。

 

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EUフィムデーズ2020はオンライン!

以前も宣伝したことがあるのですが、私が大好きなイベント、EUフィルムデーズが今年はオンラインで開催されています!

 

公式:

 

 

映画で旅するヨーロッパ」というコンセプトが本当に体現されており、ヨーロッパ各国からの作品が21本も上映されるという、すごい企画です。ヨーロッパであってもこんなイベントにはお目にかかれません。こうしたイベントが毎年開催されているということは、(もちろん主催側の努力はあるものの)やはり足を運ぶ人が一定以上いるためなので、日本の映画ファンはなかなか熱いなあと思っています。

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今回は青山シアターというGAGAが提供するプラットフォームで開催されますが(ブラウザを選ぶのでちょっと注意)、毎年の上映と同じく1本ごともパックもすごく価格設定が良心的。

ヨーロッパの映画を観たことないなあ、という方にはぜひ1本だけでもおすすめです!映画通の方でも、たとえばブルガリアやラトビアの映画なんて未体験なのではないでしょうか?

 

これだけでもなんなので、かなり昔ですが、EUフィルムデーズで出会ってから日本でのDVD化を切望している作品を挙げておきます。ハンガリー製の最高のロックンロールミュージカル!

メイド・イン・ハンガリー - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

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↓あと昔の記事。

 

 

オーバーハウゼン国際短編映画祭がオンラインで!(5/13〜18)

あっぼんやり在宅していたら4月には1本も記事を書いていなかった………。

※前置き長いですが、今日はこの映画祭のお話です。(5/15追記)

 

さて、気を取り直して(笑)”Stay Home”によって本当にいろんなコンテンツがオンラインで配信されるようになりましたね。

私もおうちで歌おうイエローサブマリン大会楽しみましたし、

nme-jp.com

ストーンズは5月になってから毎週パフォーマンス動画配信をやっています。

nme-jp.com

音楽関連では、このライブパフォーマンスの配信(全員自宅から)がすごく良かったです。

natalie.mu

 

映画関連でもたくさんあるのですが、今回はオーバーハウゼン国際短編映画祭(International Short Film Festival Oberhausen)がオンラインで開幕するのでご紹介します。今回の会期は5月13〜18日まで。

www.kurzfilmtage.de

ドイツの西の方オーバーハウゼンで開催される短編専門の映画祭で、1954年に始まっている世界でもっとも有名な短編映画祭の1つです。家から近いこともあり、私も毎年楽しみにしています(去年・一昨年と忙しくて行けなかったのですが…)。

 

以前に記事も書いています。

coroand501.hatenablog.com

 

今年はどうするのかな〜と思っていたら、オンラインで開催するとのこと。チケットはなんと€9.99!1,000円ちょっとだし非常に安いと思います*1

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(Onlineという文字が最初読めず??と思っていた笑)

今回のプログラム(スケジュール)はこれが一番見やすいです。 

 

毎回出品作品はバラエティ豊かなもので、わずか20〜30分と思えないような充実感を味わえる名作からかなり驚くような実験作品も含まれています。たぶん、こういう映画祭をためらっている人がいるとすると「よう分からん映画があったらやだな」というところだと思うのですが、私はむしろ逆にそれこそが映画祭の魅力だと思っています。

 

もちろん、最新の映画がロードショーになる前に楽しめる、しかも自分で発掘できる、というのも醍醐味です。ただ、大手の配給は厳しいだろうなーという作品や一部の人だけに直球ストレート!といった作品を観るのは自分の映画=アートを鑑賞する心を毎回リフレッシュしてくれる気がしています。

 

映画って単にお話を追うだけのものじゃないし(それだけだとすると寂しすぎる)、楽しい〜笑える〜泣ける〜以外の「え……?」って感覚、すごく必要だと思うんですよ。

なので、言ってみれば配給会社のフィルターで濾される前の生身の映画のエネルギーが味わえるのが映画祭だと思うのです(もちろんこれも映画祭出品というフィルターはかかってるわけですけどね)。

 

はい!こう書いたのはとりわけ短編にはメインストリームっぽくない映画が結構あるからなんですが(笑)、いづれにしても普段はドイツに行けない人でもオンラインで手軽に世界的に有名な映画祭が楽しめるこの機会、すばらしいチャンスだと思います。

 

観たの、できれば追記で書いていきたいと思っています。

 

coroand501.hatenablog.com

(メインストリームじゃないのが多かった年…笑)

 

 

追記(5/15):

  • 考えてみたら毎回の映画祭もそうなのですが、基本的に字幕は英語だけです。
  • こちらにタイムテーブルのリンクも張りましたが、プログラムは13〜18日の常時解禁されているわけではなく、実際の映画祭と同様3日で各プログラムが終了していきます。オンラインなのでもう少しここはどうにかして欲しかったですが、サーバの関係とかあるんでしょうか。こんな記事を書きながらうかうかしていて最初のインターナショナル・コンペティションを見逃してしまった。。

 

*1:実は無料で配信が増えるのは嬉しいのですが、個人的には結構疑問を感じています。だって、ライブがなくなる、映画館も閉鎖で音楽や映画産業に携わる人たちむしろすごく苦しい状況なわけで。そんな中オンラインでもパフォーマンスや作品を見て欲しいというのはアーティストとして当然だと思うのですが、(芸術全般の)ファンとしてはもちろんお金よろこんで払いますよ!応援してます!というのが私の気持ちです。この映画祭も€10/20/30とかで作品数絞っていっても良かったのかもしれません(買う人は買うわけですから)。

昨今の状況@デュッセルドルフ

こんにちは。

少しブログを書いていない間に世間はものすごいことになってしまいました。。

 

そう、例の感染症です(なんかもう名前聞くのもいやになってきたので伏せます笑)。
ドイツ在住の私はといえば2週間前からしっかり在宅勤務、外出禁止になっております。

 

うーーん、まぁなかなか経験しない事態ではあるので、せっかくなので今回はちょっと趣向を変えてほんのりドイツの状況について記しておきたいと思います。

(※ 4/11追記しました)

 

ホームオフィス・Amazonの配送

最初ここからかよっていう(笑)

私にとっての一番大きな変化はやはりオフィスに通わなくなったことですね(デュッセルドルフの隣町にあるうちの会社は全従業員が自宅で勤務しています)。

いや、”ホームオフィス”と言うと聞こえは良いですが、在宅はきついです。。環境は違えど以前に経験があったのと、外付けキーボードやディスプレイといった環境も整っていたので「ま、大丈夫でしょ」と気軽に始めたものの……。

 

腰&肩がめっちゃ凝る。

いや、笑い事じゃなくて普通に自宅でデスクに座ってタイプするのってブログを更新するときぐらいだったので、いい加減な椅子でもなんとかなってたんです。でも、これは8時間は無理。。開始2日で諦めてAmazonでワークチェア買いました。同僚の中には最後の日にディスプレイ抱えて帰ってるひといたな〜。

 

それにしてもこんな状況の中、配達してもらえて本当に感謝してます。

少し驚いたのが、アパートの玄関まで受け取りにくる姿を確認したら配達員の方が素早く帰ったこと。”Social distance”と呼ばれていますが、至近距離での接触を避けるためにそうしているんだそうです。このために受領確認のサインも一時的に不要に。

 

※ 調子に乗っているわけではないんですが、Amazon→DHLのロッカーに配達なら接触フリーで買い物できる!と思って他のものも注文してみたのですが、LPは+1ヶ月の配送期間となりました。まぁそうあるべきだ。それとも倉庫が他国にある関係なのかもしれません(普段はフリーパスのEUでも一時的に国境での検問が復活)。

 

ちょっと話が逸れてしまいましたが、ホームオフィス。

一日中強制的に閉じこもっていることがとにかくきつい。初日には「昼ごはんだけは食べにいって気分転換しよ〜」とか甘いことを考えてたんですが、レストランも全部閉鎖。まぁ感染症としては一番危険だものな……。持ち帰りのお店だけはやっていますが、外のスタンドをビニールでぐるぐる巻きにして手だけ出せるようにしているお店も。。

気分転換はスーパーに買い物に行くか近所を散歩orジョギングするしかありません(それでもスペインなんかに比べればマシですが)。

実は以前自分の都合で3ヶ月ほどホームオフィスにしてたことがあったんですが、その時は割とデスクワークにも適した椅子があったのと、昼ごはんに行こうと思えばぶらぶら出れたので今回の「大丈夫じゃない?」という感覚につながっていました。

家にいないといけない、かつ外出しても何もできない、というのは全然違います。普通にストレスたまるし仕事に集中するのも一苦労です。。

街が機能してればテレワークって悪くないんだけどな〜。

 

街の状況・スーパーマーケット

人はたまに歩いてるんですが、基本的に複数人での外出が制限されているため、本当にまばら。車も少なめで全体的に日本のお正月って感じでしょうか。

 

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「芸術休止」のポスター(無理矢理な訳ですが…)、なんか悲しくなります。

 

そんな中で開いているのがスーパーと薬局・ドラッグストア。

日本と同じなのですが、トイレットペーパーが3月1週目ぐらいを境にごっそりと売り切れました。今日やっと再入荷している店を見ましたが、このほかにも除菌ティッシュ・ジェル、石鹸、パスタがどこも空っぽの状態。後半はわかるけど、なんでそんなトイレットペーパー買い占めるんですかね???

 

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これが3月1週目の写真。この後残ってるのも全て消えました。

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同時期。これはほとんどそのまま変わってません。何度見ても思うんだけど、この状況下でもあくまでスパゲティだけが買い溜めされていてペンネとかは残ってるのが可笑しい。非常時に好き嫌いするな(笑)

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石鹸コーナー。これも驚きました。

 

この買いだめ、ドイツ語では”Hamsterkauf”(ハムスターカウフ)というのですが、Twitterによってなんと第二次世界大戦時にすでに存在していた言葉だと知りました(写真はナチス作成ポスター)。ハムスターって勝手に最近のペットというイメージだったんですが、案外古い言葉だったんですね。

 

しかしそんな唯一のライフラインであるスーパー、どこもすごく従業員が不足しているらしく、スタッフ募集の張り紙や店内放送をしています。そんな中マクドナルドが大手ディスカウントスーパーAldiをサポート。 

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マクドナルドの従業員がAldiで一時的に働くというお知らせ。確かにマクドナルドも持ち帰りのみになっているので最低限のスタッフ数になっているのかも。これはなかなか感心しました。

 

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ちなみにスーパーには複数人で入れません(と言われてても結構家族連れで買い物してる人いるけど…)。それと、距離を保つために必ずカートを使って買い物するように、と。考えるなあ。

 

ヘンプティー

ところで、スーパーでは妙にヘンプティー(大麻茶、カンナビスティー)を推してるのが目につきました。こういう状況でみんな不安だから少しでもリラックスしましょう、ってことなのでしょうか。

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ベリーとかレモンとか他の味のミックスもあるようです。

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さて、これまで飲んだこともなかったので、せっかくなので試してみました。
※ 大麻を吸引しているわけではなく違法なものではありません。

 

 

結果は……案外おいしい

大麻茶は大麻の葉を乾燥させてお茶にしたもので”そういう目的のもの”ではありません。箱の裏にもTHCはほとんど含まれていません、と書いてあります(ちょっとは含まれてるってことか)。

ちなみに写真のお茶のブランド「Bad heilbrunner」はドイツでもっともメジャーな薬用茶(ハーブティー)の1つで風邪で喉が痛かったりおなかの調子が悪かったりするときに飲まれています(個人的にはこのブランドのが一番効くので体調悪いときにしょっちゅう世話になっています)。

 

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箱を開けると”あ!大麻!”という匂いがすごくしました(笑)。正直かなり草っぽいにおいが強かったので不安だったのですが、実際煎れてみるとほんのり緑茶っぽいところもあり柔らかい味で、普通にどんどん飲めました。変な効果は全然なかったですが、すごくリラックスしてきたとか寝付きがよかったとか、そういったプラスの効果も私には全然なく、そこはちょっと残念でした。

 

 

 

さて、感染症に関すること自体はここに書いてもしようがないので今日はこの辺で。

ちなみに携帯の電波が表示されるところには(普段はVodafone表示)こんなメッセージが(左上)。

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Stay Home!(うちの州=NRWではあと3週間はこれが続くというお達し)