ベルリナーレに行ったこと
年が明けてから目が回る忙しさだったので書けずじまいだったのですが、そんな中でも念願のベルリン国際映画祭に行ってきました!
そう、ベルリナーレです。
2月中旬という微妙な時期の開催のためにこれまではなかなか行けていなかったんですが、ドイツに住んで4年、初めて足を運ぶことができました。
感想は、、、無理してでももっと早く行けばよかった!というもの。
いやー、朝から晩まで映画を観て映画のことだけ考える1日って、本当に幸せなものです(ものすごくインドアな趣味なことは認めるものの…笑)。チケット獲得や行列に並ぶことを差し引いても心からベルリンに行ってよかったな、と思える2日間になりました!
自分自身の備忘も含めてなんですが、意外と日本語でベルリン映画祭の”行きかた”を書いてる記事って少ないように感じたので、感じたことを少し書いておきます。
よかったこと
本当、私が今さら言うまでもないことなんですが、とにかく量が多い。ベルリン中の映画館で「未公開の」作品が放出されまくっている。これは映画好きにとってはたまらない魅力です。
そして、好き嫌いはあると思うのですが、どれも一応審査に通ったものなので見応えのある作品ばかり(のはず)。
これが世界三大映画祭の力か!って感じで圧倒されました。
あと、頑張ればもちろんスターにも…会える…はずです!
何でもないときは封鎖されてたレッドカーペッドのあたり。ところでこの辺に出てたポメス(フライドポテト)の屋台の美味そうだったこと…!
それと、個人的にいいな、と感じたのがベルリン中を映画と一緒に巡れること。最初は「え〜めんどくさいな…一箇所で集中してやってくれないかな…」とか思っていたのですが、やってみると作品ごとにベルリンの街を移動するのは、思いの外楽しかったです。いろんな場所の映画館であの熊のマークを見つけるとちょっと嬉しいんですよね。これは大都市ベルリンならではの魅力かな、と思えました。
お土産買うところ(ポツダマープラッツ)。思ったよりもあの熊が印刷されているグッズが少なく、こういうデザイン、ぜひ日本人に外注して…!とか心の中で思ってました(笑)。
大変なこと
総じて素晴らしい体験だったベルリナーレなんですが、参加するのはちょっと大変です…!
◆ 作品選び その1
Wikipediaにも載ってますが、↓のように部門が分かれています。
Wettbewerb(コンペティション)
Panorama
Berlinale Shorts
Forum
Forum Expanded
Generation
Berlinale Special
Perspektive Deutsches Kino
Retrospektive
Hommage
Berlinale Classics
NATIVe - Indigenous Cinema
LOLA at Berlinale
Berlinale Goes Kiez
Kulinarisches Kino
Berlinale Talents
Berlinale Open House
まぁこのリストだけでも若干引くほど多いんですが、最初に上げた太字の部門が目玉かなと思います。
有名な金熊賞とかに選ばれるのはコンペティション部門から。惜しくもそこに漏れたものがパノラマ部門で上映されます。短編映画はベルリナーレショートで。
フォーラムというのはもともと”ヤングフォーラム”という名前だったようで、主に新人監督の作品がエントリー(わかりにくいから名前そのままにしとけばよかったのに)。さらに10代ぐらいの超若手の作品がジェネレーションで上映されます。そこまで門戸を開いてこれからの映画作りを支援しているのはさすがと言うべきか。
他には過去の名作を取り上げるレトロスペクティヴ(今年は時流に合わせて『1984』が)、新しいドイツ映画にフォーカスするパースペクティブ(Perspektive Deutsches Kino)、特定の人物に捧げるオマージュ(Hommage)などがあります。ベルリナーレスペシャルは”特に注目すべき個性”のある作品が部門横断で選ばれています(正直個人的にはあんまりピンときませんでした…)。
まぁ他にもいろいろあるんですが、そんな感じです。
なお、いわゆるミニシアター系の映画に洗脳されすぎてるとハリウッドの大手が製作している映画はこういう映画祭に出展されない、みたいな思い込みもありがちですが、別にそんなことはありません。相対的に数は好きないですが。ヒット作としては今年は『トレインスポッティング2』がやってました(だからと言って明らかに全国ロードショーされる作品をわざわざベルリンで観る気にはなれないんですが)。
◆ 作品選び その2
まぁここは大変なこと、って言っちゃうのはアレなんですが、とにかく膨大な数の作品が上映されるので限られた時間の中で「どれを見るか」決めて、スケジュールを組むのはなかなか大変です。
しかも情報がかなり少ないです。コンペティション作品でも予告編が制作されてるものは少なく、ネットで頑張って検索して雰囲気をつかみました。(公式サイトに動画が掲載されてるものもありますが、たいていワンシーンをそのまま切りだしているので作品の全体像を判断するのはちょっと難しいです)
さらにそもそもラインナップが公開されるのが映画祭の直前です。コンペティション部門だけは少し早い?ようですが、全作品出揃うのは結局1月31日でした(映画祭は2月9日から…!)。
そんなベルリナーレの作品選びですが、なんだかんだ公式サイトが一番充実してて使えました。パンフレットもダウンロードできますし(全部門総合のはないのですが)。他のニュースサイトとか見ても公式情報以上のものはあんまりなくて、ベルリンに住んでる人以外は公式サイトとにらめっこするのが唯一の方法みたいです。当たり前ですが公式はドイツ語だけじゃなくて英語で情報が載っています。
ま、ここは映画祭の醍醐味でもあるので、参加される方は頑張りましょー!
私は今回、こちらのブログにお世話になりました。ありがとうございましたm(_ _)m
◆ チケット 〜 前売り
チケットの売り出しは4日前から。というわけで2月6日からスタートです。
これがベルリナーレ最大の難関でした!!
ベルリンに住んでいればPotsdamer Platzにある窓口で買えるのですが、そうじゃなければオンラインで前売りを取るしかありません。徹夜で並んでる人もいると聞いていたので「ベルリンに来たけど結局1本も観れず」ということだけは避けたかった私(と妻)はパソコンにへばりついて売り出し当日の10時を待ったんですが…
1分で売り切れました。
いや、これ冗談じゃないです。本当に10時1分とかにはもうコンペティション作品は売り切れてました。私たちはコンペとパノラマを中心に狙ってたんですが、だいたい10分ぐらいでどれも完売でした。結果とれたのは2枚。結構、焦りました…(笑)。
ていうか、どういう仕組みになってるんでしょうね?? 多分、オンラインでの前売りはめちゃくちゃ数を絞ってるということだと思うんですが、正解をご存知のかたがいればぜひ教えてください。
ちなみにオンライン前売りは割引とかも一切きかず、しかも1枚あたり€1.5の手数料がかかるので、なかなか割高です。そもそもチケットの価格もコンペで€14と高いですし!(普段地元の映画館で7ユーロぐらいで観てるので、2倍!)
◆ チケット 〜 当日券
あとで「前売りが完売したのに当日券がたくさん残ってるというのはすごく不思議」というブログ記事を読んでそういえばそうだな、と思いましたが、ドイツの興行ってだいたいそんなもんです。
ベルリナーレでも(かなり不安だったものの)当日券買って入れるだろう、と思っていたのですが、困ったことが。
当日券の売り出し時間がわからないのです。
最初の映画は12時半からの回、と決めていたのですが不安だった私は9時に会場に到着。待ってる人もまばらだったので、あれ、こんなもん?と思っていたところ最終的に3時間ほど待ちました。当日券の売り出し開始は30〜45分前だったのです。
これはどの会場も同じでした。しかもその時間になるまで、係員すら「チケットがあるかどうかはわからない」と言っていました。いやーーーーーーこれは、もうちょっとなんとかならないんですかね……??
当然ですが、45分前には列ができているので、その前には並ばないといけません。これが結構大変。幸いそんなケースはほとんどなかったものの、2月のベルリン、外は寒すぎます。
”Tageskasse”とあるのが当日券売り場。朝9時。会場はフリードリヒシュタット・パラスト。
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念のためドイツ語ですがベルリン新聞の記事を上げておきます。公式情報以上のアドバイスはあんまりなかったです。
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現地の前売りはこちら。ポツダマープラッツのベルリナーレ・パラスト。
どれぐらい前に並ぶべきか?というのは作品次第かな、となんとなく思いました。パノラマ部門のものは1時間前ぐらいについて15分程度待ったら割と楽勝に買えました(ようするに売り出しよりも15分前に行っただけ)。もちろん、保証はできませんが。
ちなみに最初の回で3時間待っているとき、私の前にいたおばさまがベルリナーレのマークのあるサンドイッチケースを出しておもむろにご飯を食べ出したので「ああヤバいこのひとプロだったか…」と思いました(笑)。
あ、それから当日券だと割引がききます。たくさん観る場合には重要情報です。うちは妻が学割されるので50%オフになるのはすごく助かりました…!他にも開始ギリギリだと半額になったりするようですがこれを狙うのはビギナーにはきついかもしれませんね。
そんな楽しいベルリナーレ、来年もぜひ行こうと思っています!!