A Dose of Rock'n'Roll

いろんな国の映画について書いています。それから音楽、たまに本、それとヨーロッパのこと。

カメラを止めるな!(2018)

今夏、日本で一大センセーションを巻き起こした(んですよね?ユーロスペースの長蛇の列、本当に驚きました……!)本作を、幸いにも一時帰国時に鑑賞することができました。

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カメラを止めるな! : 作品情報 - 映画.com

 

先の記事で私なりの「映画とは何か」を書いたんですが、この映画はある意味大変わかりやすく「映画とは何か」を伝える作品と言えるのかもしれません。

本作は王道の「エイガ映画」!

とにかく楽しい作品なのでぜひともみんなで鑑賞したいなーという気になります。ネタバレを含めての私の評は、以下。

 

!!! 以下、ネタバレを含みます !!!

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映画とは何か

いやはや、ずいぶん長いこと書いておりませんでした…。

意外なことにこのブログを読んでくださっている方もいると聞くこともあり、大いに感謝しながら続けたいと思っております。

 

書いてなかった間、それはまぁ非常に忙しかった、というのもあったのですが、何気に「映画を評するとは何か」とか青臭いことを悩んだりもしていました。今回はちょっとそれについて書き留めておきたいと思います。

 

映画を評するためにはそもそも対象となる映画とは何か、について自分なりにとらえなければなりません。 一般的に、映画は演劇の延長や類似したものと思われることも多いのですが、個人的にはそれは誤解というか、お芝居が映画の1つの要素であることは間違いないものの、映画ってそれだけじゃないものだと考えています。

それを冠した書籍も出ているように(マイケル・オンダーチェ『映画もまた編集である』みすず書房、2011)、私がもっともよく「映画」を表していると思っているのが「編集」です。

編集、つまり種々の要素が記録された映像を切り貼りし何かの方向性に収れんさせる。そこには(多くの場合は映像作家=監督、場合によってはプロデューサーの)明確な作為が潜んでいます。観客は一定の作為によって編集された映像を、しかも決められたフレームの中で見て、操作される。この操作された感情こそが映画体験であり、それを作り出す編集こそが映画というものなのだというのが、私の考えです。

これは、舞台で”ライブ”で演じられる芝居や、文字のみによって伝達されるがゆえに読み手に相当な裁量が許される書籍(文学と言わないのは映画もまた文学だという思いがあるためです)とは異なるものというべきでしょう(異論があることは承知しています)

まとめると、先に書いたように、記録されている、すなわち再現性があるところが、私としては映画が根本的にお芝居と違うところだと考えています。

 

で、そうした操作によって出来上がった私自身の映画体験を、文字によって再構築すること。簡単にいえば、これが映画を評するということなのでしょう。

でも! それが! 筆の拙さによって自由自在にできないことがフラストレーションだったのですが、そうしてアウトプットしていないと何故だかインプットも減ってきてしまいまずいなと思い、まぁ今日からはまたぼちぼち、気楽に好きなことを書いていこうかなと思っています。

最初はそんなつもりなかったんだけど、突然の開幕宣言みたいになってしまった。 よろしくお付き合いくださいませ。 

2017年の映画たち

いまさら明けまして、というのもはばかられるほど2018年になってしまいました。。とりあえず最初に、私の年中行事となっている昨年の振り返りを載せておきます。

 

 

 

【2017年に観た映画ランキング】

2017年も120本ちょっと映画を観たのですが、なかなか収穫のある年でした。その中でも新作からのランキングです。

 

5. サーミの血

5位はめちゃくちゃ迷ったんですが、北欧合作の本作。1人のサーミ人の少女の葛藤と成長を描いた作品。少女時代の成長がビターなのはもちろん、最終的にたどった人生について安易に答えを提示しないところがリアルで、私の気に入りました(こんなビターな経験もあったけど幸せな人生でした、なんて解はリアリズムと程遠いわけで)。それと、スウェーデンに住むサーミ人(ラップ人は蔑称)が過酷な差別を受けていた事実も、浅学ながら知らなかったので、そうした意味でも得がたい作品でした。

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映画『サーミの血』公式サイト

 

4. ア・ゴースト・ストーリー

年末滑り込みで観た秀作。詳細は以下に書いたのですが、いや愛すべき作品でした。

coroand501.hatenablog.com


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A Ghost Story(2017)

2017年もあとわずかですが、すばらしい映画館納めができたのでギリギリで書いておきます。今年も本ブログに訪問いただき、ありがとうございました!

 

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A Ghost Story (2017) - IMDb

 

事故で旅立った本人が幽霊として恋人のいる部屋に戻ってきて淡々とその様子を眺めるというお話。

ビジュアルのインパクトからスイスアーミーマンみたいな)ちょっとシュールな、キワモノっぽい作品にうつってしまうかもしれないが、中身はすごくピュアな、人生とは、死とは、愛とは、を問う詩的な映画。

 

!!!以下、ネタバレが含まれます!!!

 

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Happy End (2017)

気がついたら2ヶ月も経ってました。いやはや…今年ももう終わりですね。そんな中、カンヌでパルムドールを受賞した『アムール』より5年ぶりのミヒャエル・ハネケ監督の新作を観てきました!日本ではいつやるんでしょうか。

 

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Happy End (2017) - IMDb

 

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マザー!(2017)

ダーレン・アロノフスキーの新作、『マザー!』、相当タフだった……。かなり映画愛の強いひとでない限り安易に観にいくことはおススメできません。。

 

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マザー! : 作品情報 - 映画.com

 

↓↓↓ ネタバレ、もなんですが、ネガティブな評価をしてるので好きだった人は読まないほうがいいかも…。 ↓↓↓

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