A Dose of Rock'n'Roll

いろんな国の映画について書いています。それから音楽、たまに本、それとヨーロッパのこと。

ヘレディタリー/継承(2018)

去年公開されて絶賛されていたホラー映画、ヘレディタリーを観ました。

 

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ヘレディタリー 継承 : 作品情報 - 映画.com

 

!!! 以下、ネタバレてます !!!

 

 

そう、とにかく「怖い」という前評判だったので、「へぇ〜どんなもんかねえ」と半信半疑で観てみたものの………。

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浮草(1959)

先日京マチ子さんが亡くなったというニュースに接し、追悼上映というわけではないですが何本か見直しておりました。
いや、特に思い入れがあるわけではないのですが、やはり『羅生門』『地獄門』をはじめとした時代劇における”コケティッシュなお姫様”というのが私の印象でした。でもよく考えたら現代劇を観たことないなーと思い、それはもうなんとなく観た『浮草』があまりにも刺さったので今日は少しそのお話を(文中、敬称略)

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浮草 : 作品情報 - 映画.com

 

(※ 以下、ネタバレしてるかもしれません…念のため)

 

  • あらすじ
  • 作品評
  • 付記①
  • 付記②
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Give More Love / Ringo Starr (2017)

現在来日中のリンゴですが、前回のオールスターバンドに続いて、最新アルバムについても少し書いておこうと思います。

 

『Give More Love』Ringo Starr (2017, UMe)

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Produced by Ringo Starr

Wikipedia

Billbord

公式ストア

 

  • 総評
  • 最高のオープニングから飽きさせない展開
  • 個々の曲とゲストについて
    • その他のゲスト
    • Re-Do 

 

総評

2017年9月にリリースされたリンゴにとって通算19枚目のスタジオアルバムである。最初に結論から書くと、ここ10年の彼の作品の中でもっとも充実した仕上がりではないかと思っている。

そう書くと、ちょっとそれまでの作品、具体的にいえば名プロデューサーマーク・ハドソンから製作途中に離れた『Liverpool 8』以後何枚も駄作を作っていたように聞こえるのだが、そうではない。『L8』を含めてなんと5枚もあるそれらの作品も、聴きどころはあった。ひと言でいえば、リンゴがやりたいことをやってるところ。これまでプロデューサーの色に染まることを基本としてきた彼が、キャリアの中で一番1人でアルバムを作っている”感じ”があるのがこの10年だったのだ。

 

HDレコーディングという技術の進歩によるところもあるだろうが、それだけではないだろう。共同プロデューサーとしてもクレジットされているブルース・シュガーはハドソン以降のスタジオワークでのパートナーといえそうだが、しかし彼の役割はこれまでのリンゴの作品における”プロデューサー”とはかなり違ったもののように思われる。これが意味することは、アーティスト自身がやりたいことを見つけたらそれを具現化できるようになったということ(全キャリアを聴いてきたファンとしてあえて言っておくと、そもそもやりたいことがなかったのにアルバムを作っていた時期もあっただろう)。

一体、元ビートルズという一流ミュージシャンを前にして何をいうか、という話であるが、90年代後半まで他の楽器はおろか作曲もそれほどしてこなかった彼である。実はこれって、彼のミュージシャンとしての進化が還暦をとうにすぎてもまだまだ続いてるという驚くべきことを示しているのだ。

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リンゴ・スター&オールスターバンド@ベルリン

なんと我らがリンゴ・スターが今週から来日するようですね!

 

こちらも→ RINGO STARR And His All Starr Band - ウドー音楽事務所

 

いやーうらやましいなあ。日本公演、未だに見たことないんですよね…行かれる方はがっつり楽しんできてください&少しでもリンゴ&オールスターバンドの知名度が高まりますように!

 

今回はそんなわけで私が長年愛してやまないオールスターバンドの紹介をほんのりしながら、去年行った(のに全然書いてなかった)ベルリン公演について書こうと思います。

 

  • ◼︎ リンゴの来日
  • ◼︎ リンゴ&オールスターについて
  • ◼︎ 私とリンゴ&オールスターズ
  • ◼︎ 2018年ベルリン公演
    • 会場とか
    • 2018年ツアー
    • 前座とオーディエンス
    • 総評
    • 本編の感想

◼︎ リンゴの来日

リンゴはオールスターバンドを始めた(それまで活動が停滞してアル中になっていたのでカムバックと言われました)のが1989年で、その年に早くも来日しており、さらにメンバーを入れ替えた第3期、95年に再来日。しかし、そこからは日本にとんと縁がなくようやく2013年に久々の来日が実現したのでした。

→リンク: JASHさんによるポールのサイトの特設ページが詳しいです。ちなみにこのサイト、20年以上更新されている素晴らしいファンサイトです。メインのポールに関するコンテンツが充実しており、個人サイト全盛期だった中学生のころから私も見ています。こういう個人サイト、情報の”速度”という点では大手がSNSで発信するものにもちろんかかないませんが、私は今でもとても重要だと思うんですけどね。

 

その後は16年、そして今年とコンスタントに来日してくれるようになっています。オールスターズのツアーは基本的にリンゴが現在住んでいるアメリカのみのことが多く、この頻度で訪れている日本は世界的に見ればかなりラッキーな国ではあります(アジアでは16年ツアー時に初めて韓国公演が実現)。

 

うーん、どちらの年も日本公演、見たかったな〜こちらも長年のファンのトッド・ラングレンを拝みたかった。。

どこで仲良くなったのかトッドは92年の第2期オールスターズ参加以降、リンゴのスタジオアルバムにもよく参加しています。

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ご尊顔出典

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ドイツ映画祭2019が開催されています

ドイツ映画祭がユーロスペースで開催されているようですね!

私は行けませんが、久々に映画館で開催されることを知って嬉しくなったので書いておこうなと。

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www.goethe.de

 

  • ◼︎ ドイツ映画祭について 
  • ◼︎ 今年のドイツ映画祭
  • ◼︎ ドイツ映画祭ーこれまでのまとめ
  • ◼︎ ドイツ映画祭で上映されたオススメ作品

 

◼︎ ドイツ映画祭について 

実は2005年に大々的に開催されたイベントに参加して感銘を受け、それ以来ファンになっています。私自身が上京したてだったのもあるんですが、個人的には映画祭の楽しさと現代のドイツ映画のすばらしさを教えてくれた思い出あるイベントなのです。それが形を変えながらも14年後の今も開催されているとは、なかなか感慨深いものがあります。
っていうか、検索してみたらなんとその年の公式サイトがまだ残っていました。すごい!

 

この映画祭の良さは、単に”私がドイツ映画好き”というのを差し引いても、行く価値のあるイベントだと思っています。理由は簡単で、出品されている作品がどれも高水準だから。若干アート系(ミニシアター系)が多いとはいうものの(でもまぁそういうのが全く苦手な人はそもそもこんなイベント行かないよね…?)、エンタメ大作やドイツ国内でファミリー向けにヒットしたものなんかも扱われているのでそんなに敷居も高くなく、バラエティに富んだ良いチョイスを毎回してくるなあ、という印象です。

というか、ゲーテ・インスティトゥート(およびジャーマン・フィルムズ)の映画輸出への情熱と選”作”眼は無視できないものがあります。先月記事を書いたタリン映画祭でも(ドイツ系の人が多いのかもしれません)わざわざ枠を設けて出品していましたが、ヨーロッパ映画賞を獲得したものを含めてどれも良作ぞろいでした。

催し物 - 東京 - Goethe-Institut Japan

 

◼︎ 今年のドイツ映画祭

さて、そんな映画祭は今年は渋谷のユーロスペースで開催ということで、これまで以上に”ふさわしい場所だな”という感があります(笑)。プログラムにざっと目を通してみましたが出品作品もなかなか良さそうです。

私が観たことのあるのはケイト・ブランシェットが1人で多種多様な人間を演じ分ける異色作『マニフェスト』だけでしたが(エンタメとは真逆ながら強烈な印象)、去年のベルリナーレで評価の高かった『ロミー・シュナイダー』、ドイツで大ヒットしたフリッツバウアーの映画『アイヒマンを追え!』のラース・クラウメ監督の最新作、『東ベルリンから来た女』でおなじみのクリスティアン・ペツォルト監督『未来を乗り換えた男』など、堅実なラインナップです。ドイツは日本と比べ物にならないほどドキュメンタリーも多く上映されており、レベルの高い作品も多いので2本のドキュメンタリーが上映されるのも見逃せません。こんな書いてても私、行けないんですけどね?(笑)

 

うーむ、これほんと東京にいたら今週末朝から晩までユーロスペースだったんだけどなあ……。たった1週間の上映ですが、興味があれば、是非。

 

 

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タリン映画祭にいったこと

最近ちょっとだけ各地の映画祭を紹介するブログみたいになってますが、、、でも楽しいです、映画祭!というわけで今回も。

 

行ってから少し時間が経ってしまったのですが、11月下旬〜12月頭まで開催されていたタリン映画祭に行ってまいりました。

正式名称はTallinn Black Nights Film Festival。略してPÖFFなんですが、エストニア語がさっぱり分からない私はこの略称が覚えられず映画祭のサイトになかなかアクセスできませんでした(何度ググったことか……笑)

よく見ると「International」とついていない珍しい映画祭ではありますが、出品作品は十分世界各地からの作品が並んでおり、Wikipediaによれば、世界14大映画祭の1つだそうです(だから多いってば)

それにしても、行ってみたものの別段極夜というわけではなく*1、名前の由来にはあまりピンときませんでした。いやもちろん日の入りが15時すぎで基本は暗かったですけどね?(笑)

 

……え?タリンってどこかって?そう!エストニアの首都なのです。いわゆるバルト三国。個人的には行ったことない土地だったので映画祭行きを決めたところもあります…!(旅行・観光を兼ねたなかなかいい趣味のような気がしていて……おすすめです!)

 

あまりなじみのないところかもしれませんので、今回はちょっと旅行ガイド的に。

 

*1:極夜は英語でpolar night

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2018年の映画たち

あけましておめでとうございます。

2019年も当ブログをどうぞよろしくお願いします。

去年は途中長期間更新が滞ってしまい1年でたった10本しか書けませんでしたが、今年はもう少しマメに更新してまいります!(毎月書けば去年以上になるという低い目標……苦笑)

 

さて、一応年始なので2018年に観た映画を振り返っておきたいなと思っております。なんとなく順位づけしたくない年だったので、ランキングにはせず、印象に残ったものについて少し。ちなみに全部で106本観ていました。

 

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